この記事の執筆者
hiro教員(現役看護教員・元看護師長)
国立病院機構での「看護師長」を経て、現在は「現役の看護教員」として日々学生を指導中。さらに国家資格キャリアコンサルタントとして、看護の世界に留まらない「人生全体の設計」をサポートする専門家。これまで数え切れないほどの看護学生のSOSを受け止め、絶望のどん底から次の笑顔へ繋いできました。きれいごとは一切抜きで、あなたの命と未来を守るための『本音』を語ります。
hiro
「先生、手順通りにやったのになんで不合格なんですか!」と、演習室で目に涙を浮かべる学生さん。厳しいようですが、教員が技術試験で見ているのは『マニュアルの暗記』ではありません。その奥にある『患者さんの命を守るプロとしての覚覚』です。今日は元師長・現役教員の私が、評価表の裏側にある「本当の合格ライン」を、7つの生々しい具体例で叩き込みます。
1. 【具体例】血圧測定:あなたの「遠慮」が患者を危険にさらす

看護学生
「先生、血圧測定の試験、手順通りにやったのに減点されました…。マンシェットもちゃんと巻いたはずなんですけど。」
hiro
「ちゃんと巻いた」って、あなたの指が2本もスッと入るくらいガバガバだったじゃない。それは「遠慮」という名の「手抜き」よ。巻きが緩いと数値は実際より10〜20mmHgも高く出てしまう。もしあなたの報告を信じた医師が、不要な降圧剤を処方して患者さんが低血圧で倒れたら?その時「遠慮してました」なんて言い訳、通用しないわよ。プロなら「少しきつくなりますね」と声をかけて、正確な数値を出す勇気を持ちなさい。
2. 【具体例】清潔援助(清拭):タオルは「汚れを広げる道具」ではない
看護学生
「清拭の試験、時間内に全身拭き終わったのに『雑だ』って言われました。一生懸命やったのに…。」
hiro
一生懸命なのは認めるわ。野望。でも、あなたのタオル、拭く瞬間に冷めてなかった?さらに骨が出ているくるぶしや仙骨を往復でゴシゴシ。高齢者の皮膚はティッシュのように薄いのよ。往復の摩擦だけで表皮剥離を起こし、そこから褥瘡(床ずれ)へ悪化する。清拭は「汚れ落とし」じゃない、「皮膚の観察と血流促進」なの。タオルの温度と圧に神経を使いなさい。それができないなら、まだ人の体に触れる資格はないわ。
3. 【具体例】環境整備:ストッパー1つで「人生」が変わる怖さを知れ
看護学生
「ベッド下のストッパー、一箇所かけ忘れただけで不合格なんて厳しすぎませんか?患者さんは転ばなかったし…。」
hiro
「転ばなかったからセーフ」なんて考えは今すぐ捨てなさい。あなたがストッパーを忘れたその一瞬に、患者さんが端坐位になろうとしてベッドが動いたら?大腿骨を骨折して二度と歩けなくなるかもしれない。教員の厳しい視線は、将来あなたが医療事故の当事者にならないための防波堤なの。ストッパー1つ、ナースコールの位置1つに、患者さんの人生がかかっていると思いなさい。
4. 【具体例】経管栄養:その「確認」を怠る者は、人を殺める
看護学生
「経管栄養の準備、空気の確認とか手順が多くてパニックになります。多少空気が入っても大丈夫ですよね?」
hiro
大丈夫なわけないでしょ。多量の空気が胃に入れば膨満感や嘔吐を誘発して、それが誤嚥性肺炎の引き金になる。何より怖いのは胃管の挿入位置確認よ。もしチューブが肺に入っていたら?栄養剤を流した瞬間に、患者さんは窒息するの。「聴診器を当てる位置」と「聞き取ろうとする目」。そこにあなたの本気度が出るのよ。形式的な確認なら、ロボットにやらせればいいわ。
5. 【具体例】吸引:その角度1つが「恐怖」に変わる
看護学生
「吸引の時、カテーテルをスムーズに入れられたと思ったんですけど、先生の顔がすごく怖かったです…。」
hiro
当たり前よ。あなた、手元のチューブばかり見て、患者さんの顔を一度も見なかったじゃない。吸引は患者さんにとって「窒息」の恐怖を伴う行為。顔色が青くなっていないか、喉からどんな音がしているか、一瞬も目を離しちゃいけないの。カテーテルを奥まで突っ込んで激しく動かすなんて、ただの拷問よ。私の顔色を伺う暇があったら、患者さんの「苦しい」というサインを拾いなさい。
6. 【具体例】体位変換:力任せの介助は「虐待」と同じ
看護学生
「患者さんの体が重くて、どうしても脇の下を持ってグイッと引き上げちゃいます。これ、減点ですか?」
hiro
減点どころか、現場なら即刻中止よ。高齢者の肩関節は非常にもろいの。脱臼や骨折、皮膚の剥離を簡単に起こすわ。それに体位変換した後、下になった側の腕や衣類のシワをそのままにしていなかった?わずか2時間の「シワの圧迫」が血流を止めて褥瘡を作る。あなたの「雑な後片付け」が患者さんの皮膚を壊すと知りなさい。
7. 【具体例】手指衛生:タイミングがすべてを台無しにする
看護学生
「消毒はこまめにやってるつもりなんですけど、タイミングが違うって怒られます。洗えばいいんですよね?」
hiro
「いつ洗うか」が一番重要なのよ。手袋をはめる直前、清潔なガーゼに触れる直前。ケアの途中でベッド柵に触れたら、その手はもう「不潔」なの。そのまま傷口に触れれば、それは治療じゃなくて「汚染」よ。タイミングを外した消毒は、ただの自己満足。患者さんを院内感染から守るという責任感を持ちなさい。
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ここまで厳しいリアルを語ってきましたが、手順や根拠を頭では理解していても、試験本番や実習の現場でパニックになってフリーズしてしまうのが学生さんの現実ですよね。だからこそ、緊張で頭が真っ白になった時に、白衣のポケットから0秒で引いて自分を助けてくれる「お守り代わりのバイブル」を必ず1冊忍ばせておきなさい。
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8. 記録と時間の壁:教員の赤ペンを止める「逆算の思考」

技術をどんなに磨いても、それを論理的に記録できなければ評価は「不可」です。仕事の早い学生は、現場での観察をその場でアセスメントに繋げていますよ。
9. 【人間関係】指導者への「報告」で評価を落とす学生の共通点
看護学生
「先生、指導者さんに報告に行くといつも不機嫌になられるんです…。タイミングを見て行っているつもりなんですけど。」
hiro
それはあなたの「報告の内容」が、相手の時間を奪っているからよ。「Aさんの検温終わりました」だけじゃ、ただの雑談。指導者はあなたの報告を聞いて、患者に危険がないか判断しなきゃいけないの。「Aさんの体温は37.5度。昨日より0.5度上昇していますが、創部の発赤はなく、本人の倦怠感もありません。午後の離床は予定通り進めて良いでしょうか?」ここまで言って初めて「報告」なの。結論から言いなさい。あなたの不安をぶつけるんじゃなく、相手が判断しやすい「材料」を揃えるのが、プロを目指す学生の礼儀よ。
10. 【評価の裏側】教員はあなたの「技術の失敗」で不合格にはしない
看護学生
「hiro先生、やっぱり試験で手が震えて、手順を一つ飛ばしちゃったら、もうその時点で不合格ですよね…?」
hiro
勘違いしないで。教員は「完璧なサイボーグ」を育てているんじゃないわ。手順を飛ばしたこと自体よりも、「飛ばしたことに自分で気づけるか」「気づいた後にどうリカバリーするか」を100倍重視しているの。ミスをした時に黙ってやり過ごす学生は、現場では『隠蔽(いんぺい)』をする看護師になる。「すみません、今の手順を飛ばしました。やり直させてください」と言える学生に、私は合格を出すわ。技術のミスは練習で直せるけど、不誠実な性格は患者を殺すからよ。
11. 【精神論】実習を「こなす」のではなく「患者の人生に触れる」覚悟
看護学生
「最近、記録を終わらせることばかり考えて、患者さんの顔を見るのが怖くなっていました。先生、私、看護師向いてないんでしょうか。」
hiro
そう思うのは、あなたが患者さんと誠実に向き合おうとしている証拠よ。でもね、記録は「宿題」じゃない。患者さんの命を守るための「作戦図」なの。あなたが書き換えるアセスメントの1行が、明日その患者さんが歩けるようになるか、寝たきりになるかを決める。その重みを感じるからこそ、手が震えるし、記録も終わらない。それでいいのよ。悩んで、泣いて、それでも次の日の朝にナースステーションの前に立つ。その「一歩」を積み重ねた人だけが、本当の看護師になれるの。
12. 結びに:誠実さは、すべての技術を凌駕する
ミスを隠す学生、言い訳をする学生。私はそんな学生を、絶対に現場へは送り出しません。逆に、手が震えながらも自分のミスを認め、リスクを分析し、再挑戦する学生には、最大級の信頼を寄せます。
hiro
最後に、私の看護師免許証(合格証書)をここに置いておきます。

hiro
私もあなたと同じように悩み、震え、不合格を突きつけられながら、それでも諦めずにここまで来ました。演習室の電気はまだ消さないわよ。私がついているから、最後までやり抜きなさい!
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