
この記事を書いた人:hiro教員
現役看護教員・元看護師長・国家資格キャリアコンサルタント。これまでに2000人以上の学生を指導してきた経験から、指導者や教員が「おっ、この学生はよく考えているな」と思わず高評価をつけたくなる質問の裏技を、愛を込めて伝授します。
看護実習における質問は、単なる疑問解決ではなく、学びの深さと評価に直結する重要な行動です。
「何を質問すればいいかわからない」「忙しそうで声をかけにくい」「的外れな質問をしてしまいそうで不安」と感じている看護学生は非常に多いです。
私は看護師として15年勤務し、看護師長として新人教育にも関わってきました。現在は看護教員として15年間、これまでに約2000人以上の看護学生の実習指導を行っています。
その中で強く感じるのは、質問ができる学生ほど成長が早く、結果として評価も高くなるということです。逆に、質問が少ない学生は、どれだけ真面目でも理解が浅くなりやすく、評価につながりにくい傾向があります。
この記事でわかること
- 質問が重要な理由
- 質問できない原因
- 評価される質問の特徴
- 質問の基本の型
あわせて読みたい関連記事
実習全体の不安を根本から減らし、質問の質をグッと引き上げるための「事前学習の正しい進め方」は、こちらの記事でステップ解説しています。 ➡【効率重視】看護実習の事前学習の進め方とポイントを見る
看護実習で質問が重要な理由

看護実習では、教科書で学んだ知識を実際の患者さんに当てはめて考える必要があります。しかし、現場では想定通りにいかないことも多く、その都度判断が求められます。
その中で疑問をそのままにしてしまうと、理解が曖昧なまま実習が進んでしまいます。一方で、疑問をその場で解決することで、知識と実践が結びつき、理解が深まります。
また、質問は「主体的に学んでいるか」を判断する材料にもなります。指導者は、学生がどれだけ考えながら行動しているかを見ています。質問があるということは、考えている証拠になります。
さらに、質問は実習の評価にも影響します。評価項目の中には「主体性」や「学習姿勢」が含まれており、質問はその代表的な行動です。
はい、変わります。ただし重要なのは「考えた上で質問しているかどうか」です。ただ聞くだけでは評価にはつながりません。
質問できない理由
質問できない学生には、いくつか共通する理由があります。
忙しそうで声をかけにくい
現場の看護師は常に動いており、タイミングを見極めるのが難しいと感じます。その結果、「今はやめておこう」と思い、質問を後回しにしてしまうことがあります。
何を聞けばいいかわからない
疑問はあるものの、それをうまく言葉にできないことがあります。考えが整理できていない状態では、質問も難しくなります。
間違えることへの不安
的外れな質問をしてしまうのではないかという不安から、質問を控えてしまうケースです。
怒られるのではないかという不安
過去の経験や周囲의雰囲気から、質問すること自体に抵抗を感じてしまうこともあります。
しかし、これらはすべて多くの学生が感じていることであり、特別なことではありません。重要なのは、完璧な質問をすることではなく、「自分なりに考えていること」を伝えることです。
評価される質問の特徴
評価される質問にはいくつかの共通点があります。
まず、自分の考えが含まれていることです。ただ「わかりません」と聞くのではなく、「こう考えたのですが合っていますか」と伝えることで、思考の過程が見えます。
次に、具体的であることです。抽象的な質問ではなく、実際の患者さんの状態に基づじた質問が評価されます。
さらに、患者さんに関連していることも重要です。実習は患者さん中心の学習であるため、質問も患者さんに結びついている必要があります。
例えば、「この患者さんの呼吸状態について、○○と考えたのですが、この理解で合っていますか」というように聞くと、考えた上での質問になります。
質問の基本の型
質問が苦手な人は、型を使うことで整理しやすくなります。
質問の基本の型
① 自分の考え
② わからない点
③ 確認したいこと
この順番で質問することで、非常に伝わりやすくなります。
例えば、「この患者さんは呼吸数が増加しているため状態が悪化していると考えたのですが、この理解で合っていますか」という形です。
このように、自分の考えを先に伝えることで、単なる質問ではなく「思考を伴った質問」になります。
また、この型はアセスメントとも深く関係しています。患者さんの状態を考える力があるほど、質問の質も高くなります。
あわせて読みたい関連記事
「どうしても自分の考えをまとめるアセスメントが苦手…」という方は、実習でそのまま使える豊富な例文とコツをまとめたこちらの記事を参考にしてくださいね。 ➡【そのまま使える】看護アセスメントの例文と考え方を見る
そのまま使える質問例(実習場面別)

ここでは、実際の実習でそのまま使える質問例を具体的に紹介します。ただ質問例を見るだけでなく、「なぜこの質問が良いのか」という視点で理解することが重要です。
① バイタルサインに関する質問
「本日測定した体温がやや高めだったのですが、術後の炎症反応として考えてよいのでしょうか。それとも他に注意すべき点がありますか。」
② 呼吸状態に関する質問
「呼吸数が増加していることから呼吸状態の悪化を疑ったのですが、疼痛や不安も影響していると考えてよいでしょうか。」
③ 清潔ケアに関する質問
「清潔ケア中に患者さんが疲労を訴えていたのですが、ケアの進め方で配慮すべき点はありますか。」
④ 食事に関する質問
「食事量が減っているのですが、術後の影響だけでなく心理的要因も考えたほうがよいでしょうか。」
⑤ 排泄に関する質問
「排便が見られていないのですが、活動量や水分摂取量も影響していると考えてよいでしょうか。」
⑥ コミュニケーションに関する質問
「患者さんとの会話でうまく話を引き出せなかったのですが、関わり方で意識すべき点はありますか。」
⑦ 報告に関する質問
「この内容で報告しようと考えているのですが、優先して伝えるべき情報はどれでしょうか。」
⑧ 観察の視点に関する質問
「この患者さんの状態を観察する際に、特に注意して見るべきポイントはどこでしょうか。」
⑨ アセスメントに関する質問
「患者さんの状態を○○と捉えたのですが、この考え方で問題ないでしょうか。」
⑩ 優先順位に関する質問
「この患者さんへの援助の優先順位について、どのように考えるとよいでしょうか。」
実習でよくある質問場面と考え方
実習では、どの場面で質問すればよいのか迷うことも多いです。ここでは、よくある場面ごとに質問の考え方を解説します。
バイタル測定後
測定した値をそのままにせず、「なぜこの数値なのか」を考えることが重要です。例えば、体温が高い場合、術後の影響なのか、感染の可能性があるのかを考え、その上で質問します。
患者との関わり
患者との会話の中でうまくいかなかった場面は、質問のチャンスです。「どのように関わればよかったか」を聞くことで、次に活かすことができます。
援助場面
援助中に迷ったことや不安に感じたことは、そのままにせず質問することが重要です。安全に関わるためにも、疑問はその場で解決する意識が必要です。
悪い質問と良い質問の違い
質問の質は、少しの違いで大きく変わります。
悪い例
「よくわかりませんでした」
良い例
「○○と考えたのですが、△△の部分が理解できませんでした。この考え方で合っていますか。」
悪い例では何がわからないのかが伝わりません。一方、良い例では考えた内容と疑問点が明確になっています。
NGな質問と改善方法
- 丸投げの質問
- 調べればわかる質問
- 患者と関係ない質問
例えば「これって何ですか?」という質問は、自分の理解度が伝わらず評価されにくいです。
改善としては、「○○だと思ったのですが、この理解で合っていますか」と自分の考えを加えることが重要です。
質問の質を高める考え方
質問の質を高めるためには、「なぜ」を繰り返し考えることが重要です。
例えば、「バイタルが高い」だけで終わるのではなく、「なぜ高いのか」「何が影響しているのか」「患者にどんな影響があるのか」と考えることで、質問の内容が深くなります。
また、一つの視点だけでなく、複数の視点で考えることも大切です。身体面だけでなく、心理面や生活面も含めて考えることで、より深い質問ができるようになります。
質問のタイミングの考え方
質問は内容だけでなくタイミングも重要です。
基本的には以下のタイミングを意識するとよいです。
- 業務が落ち着いている時間
- 指導の時間
- 記録確認のタイミング
忙しい時間帯に無理に質問するのではなく、相手の状況を見ながらタイミングを調整することも大切です。
質問できないときの対処法
どうしてもその場で質問できない場合は、メモを活用することが重要です。
疑問に思ったことをそのままにせず、あとでまとめて質問することで学びを深めることができます。
また、「後で質問してもいいですか」と一言伝えておくことで、質問しやすい環境を作ることもできます。
💡 教員からの実践アドバイス:「考える質問」を影で支える秘密の道具
忙しそうなナースの先輩を前にすると、緊張して「基本の型」すら忘れて言葉が出てこなくなりますよね。それは当然のことです。だからこそ、頭の中だけで解決しようとせず、物理的なツールを使って質問を整理する習慣をつけましょう。実習評価を爆上げするおすすめの2大アイテムです。
① 質問の「型」をカンペにして腕に巻く「ウェアラブルメモ wemo」
ナースステーションで声をかける前に、この腕巻きメモに「①自分の考え」「②疑問点」をサッとボールペンで箇条書きしておきましょう。緊張で頭が真っ白になっても、手元を見るだけで驚くほど理路整然とした「良い質問」ができるようになり、指導者からの評価がガラリと変わります。
② 質問のタイミングを絶対に見逃さない「ドリテック 点滴タイマー」
「調べればわかるNG質問」を避けるためには、その場での迅速な時間管理と計算が必要です。音を出さずに次の行動時間を知らせてくれるタイマーがあれば、業務の流れを先読みでき、「指導者が今まさに一息ついたベストなタイミング」を狙いすまして質問に行けるようになります。
指導者が見ているポイント
実際に指導してきた中で、評価される学生には共通点があります。
- 自分なりに考えている
- 疑問をそのままにしない
- 患者を理解しようとしている
質問の内容よりも、「考え方」が評価されています。
質問力を高めるための習慣
質問力は一度で身につくものではありません。日々の習慣が重要です。
例えば、実習中に「なぜ」と考える癖をつけるだけでも大きく変わります。
また、実習後に振り返りを行うことで、次の質問につながります。
あわせて読みたい関連記事
その日の実習で得た学びをきっちり言語化し、指導者に響くレポートに仕上げるための「振り返りの書き方」のコツはこちらです。 ➡【例文あり】教員に褒められる看護実習の振り返りの書き方を見る
ケース別の質問の考え方
高齢者の場合
身体機能だけでなく、認知機能や生活背景も考慮する必要があります。
術後患者の場合
疼痛や感染リスクなど、回復過程を意識した質問が重要です。
慢性疾患の場合
生活習慣や自己管理を含めた視点が必要になります。
指導者が評価している質問とは
指導者は、質問の内容そのものだけでなく、そこに至るまでの思考過程を見ています。
例えば、「なぜそう考えたのか」「どこまで理解しているのか」「何を学ぼうとしているのか」といった点です。
そのため、完璧な質問をする必要はありません。むしろ、自分なりに考えた上での質問であれば、多少間違っていても評価されます。
大切なのは、「考えようとしている姿勢」です。
まとめ

看護実習における質問は、学びと評価の両方に大きく関わる重要な行動です。
- 質問は評価される
- 考えた上で聞くことが重要
- 型を使えば質問しやすくなる
まずは「自分の考えを一言つけて質問する」ことから始めてみてください。
当サイトのコンテンツは、一般的な看護教育指針および指導経験に基づいた解説です。実習施設や担当指導者・教員によって、質問に望ましいタイミングやカンペ類の持ち込みに関する規定は異なります。周辺グッズの使用については必ず事前に各実習マニュアルや担当者の指示を確認してください。本情報および紹介したグッズの利用によって生じた実習評価への影響、トラブル等について、当サイトは一切の責任を負いかねます。