執筆者:hiro教員
元看護師長・現役看護教員・国家資格キャリアコンサルタント。病棟の激務に疲弊し「一人ひとりの患者さんとじっくり関われる訪問看護に行きたい」と相談に来る若手看護師を多数サポート。「臨床経験がないと絶対に無理!」という古い思い込みを解きほぐし、教育体制が整った安心できるステーションへ転職するためのノウハウをお伝えします。
新人看護師
先生、相談があるんです。病棟のバタバタしたスピード感についていけなくて、もっと患者さんの生活に寄り添える『訪問看護』に興味があるのですが…
hiro
訪問看護はとてもやりがいのある素晴らしい選択肢ですね。ちなみに、職場の先輩や同僚には相談してみましたか?
新人看護師
はい…でも先輩から『臨床経験が3年もないのに訪問看護なんて絶対に辞めとけ!一人で何もできないよ!』と強く止められてしまって、すっかり自信をなくしてしまいました…
hiro
そう言われて不安になってしまったんですね。先輩たちが心配する理由もよく分かりますが、結論からお伝えすると『新人は絶対に訪問看護ができない』というのは、ひと昔前の古い常識なんですよ。
ステーションの選び方さえ間違えなければ、臨床経験1〜2年、あるいは新卒からでも立派な訪問看護師としてイキイキと活躍できます。
ただし、先輩の言う「辞めとけ」というアドバイスにも一理あります。教育体制が整っていないステーションに飛び込んでしまうと、一人で責任を抱え込んでしまい、心が折れてしまうリスクがあるからです。
今回は、現役看護教員の視点から「なぜ新人は辞めとけと言われるのか」を丁寧にアセスメントし、経験が浅くても失敗しない訪問看護ステーションの選び方を分かりやすく解説します。
なぜ「辞めとけ」と言われる?病棟と訪問看護の決定的な違い
新人看護師
採血や点滴などの基本的な手技はできるようになってきたのですが、それだけでは訪問看護は難しいのでしょうか…?
hiro
手技がしっかり身についているのは素晴らしい強みですよ!ただ、訪問看護で一番大きなハードルになるのは、手技そのものよりも『その場でアセスメントして、自分一人で状況を判断するプレッシャー』なんです。まずは病棟との違いを一緒に確認してみましょう。
比較項目
病棟(病院)
訪問看護(在宅)
医師・先輩の存在
すぐ近くにいて、いつでも直接相談できる
基本は自分1人(電話やチャットでの相談)
医療物品の充実度
必要な医療器具や物品が揃っている
ご自宅にある日用品を活用する工夫が必要
急変・異常時の対応
すぐに検査や医師の診察へ繋げられる
救急要請か、経過観察かのアセスメントが重要
患者・ご家族との関わり
面会時間や退院指導での関わりが中心
生活の場に入り、家族の介護負担も含めて支援
新人看護師
こうして比べると、病棟は周りに頼れる人が常にいる安心な環境だったんですね。一人で訪問して急変が起きたらどうしよう…と考えると、確かに怖くなってきました。
hiro
そう感じて当然ですよ。病棟では『すぐ先輩に聞く』が基本ですが、訪問先では『まず第一報として自分がどう判断するか』が求められます。先輩が『辞めとけ』と言ってくれたのは、あなたが一人で抱え込んで潰れてしまわないかを純粋に心配してくれたからなんですね。
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経験ゼロでも安心!訪問看護ステーション「3つの選び方」
新人看護師
私のような経験の浅い看護師でも、安心して働けるステーションはあるんでしょうか?
hiro
もちろんです!大切なのは『あなたを最初から一人きりにさせない仕組み』が整っている職場を選ぶことです。求人を見る際は、給与面だけでなく以下の3つのポイントを必ずチェックしてくださいね。
1. 「同行訪問」の期間が明確に決まっている(最低3ヶ月〜半年)
新人看護師
同行訪問って、先輩看護師が一緒に現場へ来て教えてくれる期間のことですね。
hiro
その通りです。経験の浅いうちは、いきなり単独で訪問させられることほど不安なものはありません。『最初の3ヶ月〜半年間は必ず先輩がマンツーマンで同行する』と期間が明文化されているステーションを選びましょう。『慣れるまで同行』といった曖昧な表現のところは、人手不足ですぐに一人立ちさせられてしまうケースもあるので注意が必要です。
2. 困った時に「すぐ相談できるバックアップ体制」がある
新人看護師
訪問先で判断に迷ったとき、すぐに電話やチャットで先輩に聞ける環境があると本当に心強いです…!
hiro
まさにそこが一番の安心材料になりますね。最近はタブレットやスマホを活用して、皮膚トラブルやバイタルの変化を写真・メッセージでリアルタイムに相談できる体制を整えているステーションが増えています。こうしたITツールを導入している職場は、若手ナースにとって心強い味方になりますよ。
3. 新人は「オンコール(夜間待機)」が免除、または段階的スタート
新人看護師
夜間に電話対応や緊急訪問をするオンコール業務、私にできるか一番心配でした…
hiro
新人に最初からオンコールを持たせる職場は避けたほうが安心です。『入職後1年間はオンコール免除』や『まずは先輩のサブ(副当番)として同行から始める』など、成長に合わせてステップアップさせてくれるステーションを選びましょう。
【hiro教員の処方箋】職場のリアルな教育体制はプロに聞くのが一番
新人看護師
でも先生、求人票を見ただけでは『本当にしっかり同行してくれるのか』『新人を育てた実績があるのか』までは見分けがつきませんよね…?
hiro
そうなんですよね。ホームページに『教育体制充実』と書かれていても、現場の状況は事業所ごとに大きく異なります。だからこそ、自分一人で悩まずに、便利な情報収集サービスを賢く活用してみるのがおすすめですよ。
訪問看護ステーションは小規模な事業所から大手法人が運営するものまで様々です。経験が浅い看護師を受け入れ、丁寧に育ててきた実績があるかどうかを事前に把握することが、転職を成功させる一番の近道になります。
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新人の訪問看護転職に関するよくある質問(FAQ)
新人看護師
訪問看護について、よくある疑問についても教えていただけますか?
hiro
若手看護師さんからよくいただく質問を3つまとめましたので、参考にしてみてくださいね。
Q1. 訪問看護へ転職すると給料は下がってしまいますか?
A. 夜勤手当が減る分、手取りが下がるケースもありますが、オンコール手当等でカバーできる場合もあります。
病棟で月4〜5回の夜勤をこなしていた頃と比べると額面が下がることもありますが、基本給は比較的高めに設定されている傾向があります。何より「夜勤がなく生活リズムが整う」「カレンダー通りに休みやすい」という身体の楽さは、非常に大きなメリットです。
Q2. 運転免許を持っていませんが、訪問看護で働けますか?
A. 都市部であれば電動自転車での訪問が中心なので、運転免許がなくても大丈夫です!
地方では軽自動車での移動が必須となることが多いですが、都心部や住宅街のステーションでは電動自転車やバイクでの訪問が主流です。求人を探す際に「自転車移動メイン」などの条件を確認してみましょう。
Q3. 新卒や1〜2年目で訪問看護を選ぶのは無謀でしょうか?
A. 決して無謀ではありません。近年は若手をイチから育てるプログラムが充実しています。
在宅医療の需要拡大に伴い、大手法人を中心に新人育成の研修コースが整備されています。病棟の固定観念がない分、「患者さんの生活を丸ごと支える看護」を素直に吸収しやすいという点も大きな強みになりますよ。
まとめ:「辞めとけ」という言葉にとらわれず、あなたらしい看護を
新人看護師
先生のお話を聞いて、訪問看護への挑戦に前向きな気持ちになれました!しっかり育ててくれるステーションを探してみます。
hiro
その前向きな気持ちがあれば大丈夫ですよ!病棟の忙しさに馴染めなかった方でも、一人ひとりとじっくり向き合える在宅看護の現場で、本来の優しさを発揮して輝いている看護師さんはたくさんいらっしゃいます。
訪問看護は、患者さんの「生活の場」に入り込み、その人らしい生き方を支える非常にやりがいのある仕事です。
「経験が浅いから」と最初から諦める必要はありません。
教育体制の整ったステーションをしっかり見極め、在宅医療という新しいフィールドに自信を持って飛び込んでみてくださいね!
ください!